一般的に学校の校庭の土壌は表面処理(塩化カルシウム)による表面固結やクレーなど固く締まった土壌を用いている場合が多いです。そのままでの土壌を芝生化は難しい場合がございます。土壌分析や試験施工などを部分的に行ってから全面を芝生化することをおすすめします。透水性や排水性の改良(暗渠排水)、水たまり部の補修、適正な土壌への置換など物理的な処置と土壌のpHや成分など化学性の改良も必要となり、大掛かりになる可能性がありますので、専門業者に調査を依頼するのが望ましいです。芝生に適する土壌条件を確保した上で、用途や利用頻度によって芝生の種類を設定します。仙台地域ですと寒地型芝生と暖地型芝生の両方が可能な地域となります。利用頻度が少ない場合は省力管理のノシバを、利用頻度が高い場合は生育が旺盛な寒地型芝生ケンタッキーブルーグラスか暖地型芝生のティフトン芝をおすすめします。
一般地や西南暖地では暖地型芝草のバミューダグラスとセンチピードグラスがおすすめです。また高寒冷地ではクリーピングレッドフェスクやチューイングフェスクなどの細葉ファインフェスク類が荒れ地には向いていますが、これらは踏圧に弱いためケンタッキーブルーグラスやトールフェスク、ペレニアルライグラスなど数種類の混合がおすすめです。
太陽光発電パネル下には白クローバが多く用いられています。その他に高寒冷地ではベントグラスやケンタッキーブルーグラス、一般地や西南暖地ではセンチピードグラスやバミューダグラスが適しています。生育初期に雑草が繁茂しないよう手取りなどをしっかり行い、密度を高めて地表面を露出させないようにしますと草木が侵入しない状態になります。
白クローバが多く用いられています。その他に高寒冷地ではベントグラスやケンタッキーブルーグラス、一般地や西南暖地ではセンチピードグラスやバミューダグラスが適しています。生育初期に雑草が繁茂しないよう手取りなどをしっかり行い、密度を高めて地表面を露出させないようにしますと雑草が侵入しない状態を維持できます。
一年中、芝生を緑にするためには、2つの方法があります。1つ目の方法は、寒地型芝草を利用する方法です。ただし関東地方以西の夏期に高温となる地域では、耐暑性品種を用いても夏枯れする事があります。夏期の散水と殺菌剤散布が必要になりますのでご注意ください。2つ目の方法は、暖地型芝草をベースとし、ウィンターオーバーシーディングを行う方法です。ティフトンシバやバミューダグラスなどの暖地型芝草は、良好に越夏しますが、冬期に休眠して褐色化します。このため、毎年秋期にペレニアルライグラスやアニュアルライグラス等の寒地型芝草を追播します(ウィンターオーバーシーディング)。翌年、気温が上昇するとライグラス類が衰退し、ティフトンシバやバミューダグラスなどの暖地型芝草に切り替わります。関東地方以西の多くのサッカー場では、この方法によって、一年中、緑の芝生が維持されています。
ゴルフ場のグリーンでは、ベントグラスやヒメコウライシバが利用されています。ベントグラスを良好に育てるためには、芝刈りをほぼ毎日行うなど専門的な知識と高度な管理が必要になります。このため、一般家庭でパッティンググリーンを造るには、ベントグラスよりもヒメコウライシバを利用することをおすすめします。なおベントグラスのグリーンを試されるのであれば、耐暑性と耐病性が高いCY-2をおすすめ致します。
芝草は、日当たりを好む植物です。寒地型芝草であればフェスク類、暖地型芝草であればセントオーガスチングラスやセンチピードグラスが、比較的日陰に強い芝草とされています。しかし、1日の日照時間が4時間より少ない場合は、どの芝草でも良好に育てることは困難です。周辺の樹木を剪定するなど、できるだけ日当たりが改善されるようにします。なお寒地型芝草であればトールフェスク「アリッド3」やトールフェスクを主体にした「芝草種子混合タイプD」をおすすめ致します。
バミューダグラスは種子から栽培するため、芝生になるまで時間が掛かりますが、安い金額で芝生が作れます。一方、ティフトンシバは、切り芝(ソッド)、ポット苗、ストロン苗が流通しており、バミューダグラスに比べて短期間で芝生が作れますが、金額が高くなってしまいます。芝生の質を比べると、ティフトンシバの方が若干密度が高くなりますが、それ程大きな違いではありません。いずれもウィンターオーバーシードのベース芝として最適です。
これらの芝草は、匍匐茎によって繁殖する栄養繁殖のため、種子ができません。このため、切り芝(ソッド)やストロン苗で流通しています。なおティフトンシバに関しては、形態も類似しているバミューダグラスは種子の入手も可能で、バミューダグラスはティフトンシバの上に追い播きすることができます。
芝草の多くは、耐虫性や耐暑性を向上させる「エンドファイト」と言う内生菌が共生しています。エンドファイトは家畜毒性を持つ種類もあるため、ペットや動物に与えることができません。ペット等の餌としての利用は、ペットショップ等で販売されているペット用スプラウト(通称:猫の草)をおすすめします。
外来生物法に基づく「特定外来生物」は、植物ではオオキンケイギクなど12種が指定されており、保管や栽培が禁止されていますが、芝生は特定外来生物には指定されておりません。また芝生の多くは生態系被害防止外来種リストの「産業管理外来種」に指定されており、「適切な管理が必要な産業上重要な外来種」とされています。なお佐賀県では、条例でトールフェスクの栽培が禁止されていますので、ご注意ください。
種子が飛ばされないように風の少ない日に播種します。播種前に床土(砂)を透水性・排水性が良く、pHや適正な化学性の条件にし、平坦性をしっかり整えます。凹凸は裸地の発生や病気の原因になります。元肥として化成肥料を50g/㎡を均一に散布しレーキ目を付けます。
回転式や落下式の播種機を使用して播種します。播きムラが病気の発生源となりますので、均一に播くことが最も重要となりますので、種子を等分して、タテ、ヨコ、斜めの「3方向播き」を行いますと均一に播種することができます。
種子と表土がなじむように、レーキなどを用いて軽く覆土します。その後よく鎮圧し、種子が動かないように優しく散水します。その後は発芽するまで適宜散水し、発芽が揃い後5cm程度伸びた時点で手取り除草をしっかり行います。
播種時期は一般地で5月上旬~8月下旬で、梅雨直前頃が最もよく、低温時期は発芽が低下します。
種子は生きていますので、種播き直前に購入することをおすすめします。種播き後に種子が余った場合は、密閉し、冷蔵庫の野菜室などの冷暗所に保管してください。条件が良ければ、1年程度は、発芽率が低下することはありません。保管した種子の発芽率を調べたい場合は、湿らせたティッシュペーパーに播いて、室温で2週間程放置すれば、発芽率を確認することができます。
当社で販売している種子は、高い発芽率を持っています。このため、種播き前の浸漬処理は必要ありません。上手に発芽させたい場合は、種播き後に、覆土、鎮圧、散水を確実に行います。
発芽には、水と温度が必要です。播種適期では無い時期に播種しても発芽しません。また雨が少ない場合には、種子が流れない程度に散水を行う必要があります。条件が整えば、ケンタッキーブルーグラスやバミューダグラスで10日~2週間で発芽が開始されます。またウィンターオーバーシードの場合は、低温期となるため発芽まで2週間以上を要する場合もあります。以下は、考えられる発芽不良の原因です。
●高温多湿なところに、種子を保管していた。
●播種する土壌を、硬めに締め固めた。
●排水が不良で、しばらく水溜りができていた。
●冬期など、播種適期ではない時期に播種した。
●播種後に雨が降っていない。散水も行っていない。
●播種後、目土を厚く掛けすぎた。
●播種後、種子が風に飛ばされた。 種子が雨に流された。 種子が鳥に食べられた。
●オーバーシードの場合、ベースの芝のサッチを十分取り除かなかった。または短く刈込まなかった。そのため種子が床土に到達できず、発芽が不良となった。
発芽直後の芝草は、非常に小さいため、発芽直後に衰退してしまうことがあります。以下、発芽直後に起こりやすい芝生が衰退する原因です。
●根が浅い時期に乾燥し、枯死した。
●排水が不良で、病害に罹病した。
●発芽直後に、鳥や害虫に食べられた。
●日陰地に種子を播いた。
●発芽後、直ぐに芝生を利用し、踏圧を掛けた。
●発芽後、一気に低く刈り込んだ。
●肥料を大量に散布した。または肥料散布後に芝生に立ち入った(肥料焼け)。
●雑草が大量に発生し、日陰となり、衰退した。
暖地型芝生は気温の下がる10月頃から色あせが始まり、やがて休眠状態となり、春まで緑度が失われ枯れた状態になります。秋から春までの芝生の緑度保持のために秋に寒地型芝生の種子を播種して、徐々に切り替えていく手法がウィンターオーバーシーディングです。ベースとなる芝は夏の生育旺盛な暖地型芝生のティフトンシバやバミューダグラスに限定されます。またウィンターオーバーシーディングに使用する寒地型芝生は耐暑性が低く、夏に枯れてしまうペレニアルライグラスやアニュアルライグラスを使用します。
4月初旬から6月中旬がトランジッションの時期となります。冬芝の生育を抑えるために施肥を停止し、刈込のみ継続します。気温が高まり、夏芝(ベース芝)の生育が始まる頃より低刈をし始め、地表に日光が当たりやすい条件を作ります。夏芝が冬芝の間から確認できるようになりましたら、窒素成分で5g/㎡以上を追肥し、たっぷりと散水します。乾かないよう適宜散水をし、夏芝の萌芽を促します。梅雨明けには気温が急激に上がるため、夏芝の勢いが高まると共に冬芝の生育が弱まり、この頃から通常の夏芝管理に切り替えます。梅雨中に低温が続き切り替わりが悪い場合は選択性の除草剤による冬芝の除草をおすすめします。
切り芝(ソッド)は、土に密着しなければ、発根して定着することができません。このため、今ある芝生を剥ぎ取るか、除草剤を散布して枯らし、砕いて土中に埋め込むことが必要です。
完全に作り直すためには、コウライシバを剥がし(または除草剤で枯らし)、床を耕起、整地しなおして、ティフトンシバの苗を植付けます。一方、簡易的な方法として、コウライシバにティフトンシバの苗を植付け、2~3年かけて、徐々にティフトンシバに切替えていくことも可能です。コウライシバベースでウィンターオーバーシーディングを行い、春期にコウライシバが傷んだ部分に、ティフトンシバの苗を補植することで、徐々に切り替えていきます。
大変申し訳ございませんが、地元の造園業者様にご依頼ください。
ケンタッキーブルーグラスやバミューダグラスでは15mm程度、ベントグラスでは4~5mm程度まで低刈が可能です。低刈りする場合、一度に半分以上の草丈に刈込むと、茎だけの状態(軸刈り)となり、大きなダメージが生じます。このため葉を残す程度に、徐々に刈高を下げて行く必要があります。また、低刈りする場合は、土壌の表面の起伏が少ない事が条件となります。
芝生はイネ科の植物ですので、基本的に葉が細長い特長がありますが、刈取りを全く行わないと、ケンタッキーブルーグラスでは40~50cmまで草丈が伸び、出穂(開花)することがあります。以下に簡単な見分け方を説明します。
●トールフェスク:葉脈が何本もあり、葉が硬く、ザラザラしています。
●ケンタッキーブルーグラス:葉脈が1本で、葉の先端がボートの舳先状になります。
●ライグラス:葉の裏側に光沢があり、茎の根元が赤くなります。
●チューイングフェスク:葉が針のように細い特長があります。
シバゲンDFは、バミューダグラスを残し、一年生雑草、多年生広葉雑草、ヒメクグ、ハマスゲを除草できます。詳しい施用方法や適用作物などは、農薬の販売店等にご相談ください。
MCPP液剤は、ケンタッキーブルーグラスを残し、クローバ及び畑地一年生広葉雑草を除草できます。またバンベルD液剤は、一年生及び多年生広葉雑草を除草できます。詳しい施用方法や適用作物などは、農薬の販売店等にご相談ください。
茎葉処理剤は、雑草の茎や葉に散布して雑草を枯殺する種類、土壌処理剤は、土壌表面に発芽を抑制する層を形成し、種子の発芽を抑制する種類です。どちらを散布しても構いませんが、雑草の種類や芝生の種類に合わせた除草剤を散布する必要があります。詳しくは、農薬の販売店等にご相談ください。
刈カスが蓄積し、排水が悪くなると、藻や苔が発生しやすくなります。藻は、ゴーレット水和剤、ペンコシャイン水和剤で防除が可能です。苔は、キレダーCAN水和剤で防除が可能です。詳しい施用方法や適用作物などは、販売店等にご相談ください。なお藻や苔が発生しやすい条件が整っていると、薬剤で防除しても、再発生することが良くあります。樹木を剪定して日当たりを確保する。エアレーション(穴あけ)を行って排水を改善する。雨水などが芝生に流入しないようにする。などの対策が有効です。
サビ病に罹病している可能性があります。サビ病は、グラステン水和剤、サプロール乳剤で防除できます。詳しい施用方法や適用作物などは、農薬の販売店等にご相談ください。なおサビ病は窒素肥料が少ない場合に多発します。適正な施肥を行っていれば、殺菌剤を散布する必要は無くなります。
芝草が罹病する病害は、土壌病害と茎葉病害に大きく分かれます。排水不良時に根が腐るピシウム病(土壌病害)には、タチガレン液剤がおすすめです。また芝生表面に円形の病斑が生じるブラウンパッチ(茎葉病害)には、ヘリテージ顆粒水和剤やグラステン水和剤がおすすめです。詳しい施用方法や適用作物などは、農薬の販売店等にご相談ください。
土壌中に、コガネムシやヨトウムシなどの幼虫が潜んでいる可能性があります。幼虫の密度が増えると、芝生の根が切断され、枯れてしまうことがあります。状況に応じ、スミチオン乳剤、オルトラン水和剤などの殺虫剤を散布します。なお詳しい施用方法や適用作物などは、農薬の販売店等にご相談ください。
寒地型芝草は、暖地型芝草に比べ、暑さに弱い特性があります。最近は耐暑性の高い寒地型芝草の品種も育成され、関東以西でも越夏できるようになりましたが、高度な管理が必要となります。根まで枯れてしまった場合は、回復が見込めません。再度、播種または張替えが必要になります。夏枯れの程度が低い場合には、秋期に回復することもあります。この場合、部分的に追播することをおすすめ致します。レーキなどを利用して芝草の残渣を取除き、種子を播き、目土を1~2mm散布し、鎮圧します。以下は、寒地型芝草を夏期に枯らさないポイントです。
●耐暑性が高い品種を選ぶ。
●生育が旺盛な時期は、適正な芝刈り、施肥(液肥散布も含め)を行う。
●高温期は、病虫害が多発する時期になるため、定期的な薬剤散布を行う。
●乾燥対策として、日中を避け、早朝に十分に散水する。なお日中の高温な時間帯は、表面温度を下げる目的で、霧状に噴霧することが効果的。
●排水不良は、根腐れや病害発生の原因となるため、予め芝生表面に勾配をつけたり、定期的な更新作業(穴あけや目土散布など)を行ったりする。
肥料が少ない場合、冬期に葉が黄色くなることがあります。ウィンターオーバーシードの種播き後、12月までに粒状肥料をしっかり施肥し、十分に育てておく必要があります。厳冬期は粒状肥料を散布しても効きづらいため、アミノ酸や糖を含む液肥を散布します。また寒冷紗など被覆資材でカバーするのも効果的ですが、蒸れないように注意が必要です。
コウライシバ、セントオーガスチングラスなどの芝草は、種子の流通がありません。補修の規模が小さい場合は、芝生の外周部から生育の良い匍匐茎を切り取って、植え付けます。面積が大きい場合は、新たに切り芝(ソッド)を購入するか、外周部の芝生を切り取って植え替えます。なおこれらの芝草は、匍匐茎によって繁殖する栄養繁殖のため、施肥を行えば復活していきます。