線虫と聞いて、どのようなことをイメージしますか? 普遍的に存在する線虫は、食物連鎖の最下層に位置しながらも有機物をせっせと分解し、物質循環の立役者となっている存在です。ところが、数千~数万種類と言われる線虫の中には、植物に寄生して生きる線虫がいます。これが農業で問題になる植物寄生性線虫と呼ばれているもので、代表的なものにネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウ、シストセンチュウがいます。緑肥作物を導入することで、これらの線虫の増殖を抑制し、作物への被害を軽減することが可能です。
ネコブセンチュウ:根に数珠状のこぶが連なっている
一度根に侵入すると産卵するまで根から出ない「定住型」の線虫です。その寄生範囲はかなり広く、サツマイモやウリ科、ニンジンなど多種の作物に被害が及びます。多くの作物は根にコブができ、その外側につく「卵のう」の中に多くの卵が産みつけられています。
ネグサレセンチュウ:黒いシミがある状態
幼虫から成虫になるまで、根の外を出たり入ったりする「移動型」の線虫です。そのため、出入りをした細胞は壊死し、そこから病原菌が入って二次感染が起こります。バーティシリウム属菌による病害の発生は、ネグサレセンチュウの密度との間には強い相関関係があるとされています。この線虫の寄主範囲もかなり広く、雑草でも増殖します。
シストセンチュウ:シスト(根粒よりも小さい)が着生
ネコブセンチュウ同様、「定住型」の線虫です。成虫はシストと呼ばれる硬い殻の中にたくさんの卵を産みます。根からはがれたシストは、土中でじっと次の寄生作物が来るのを待ち続けます。ダイズシストセンチュウの場合、ダイズ・アズキ・インゲンなどの豆類でしか増殖しません。
作物名 | ネコブセンチュウ | ネグサレセンチュウ | シストセンチュウ | ||||||
サツマイモ | ジャワ | キタ | アレナリア | キタ | ミナミ | クルミ | ダイズ | ジャガイモ | |
キュウリ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
カボチャ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
メロン | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
スイカ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
ナス | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
トマト | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
オクラ | ○ | ||||||||
エンドウ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
インゲン | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
ピーマン | ○ | ○ | |||||||
エダマメ | ○ | ○ | ○ | ||||||
イチゴ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
作物名 | ネコブセンチュウ | ネグサレセンチュウ | シストセンチュウ | ||||||
サツマイモ | ジャワ | キタ | アレナリア | キタ | ミナミ | クルミ | ダイズ | ジャガイモ | |
ジャガイモ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
サトイモ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
サツマイモ | ○ | ○ | ○ | ||||||
ナガイモ | ○ | ||||||||
タマネギ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
ダイコン | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
ニンジン | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
ゴボウ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
作物名 | ネコブセンチュウ | ネグサレセンチュウ | シストセンチュウ | ||||||
サツマイモ | ジャワ | キタ | アレナリア | キタ | ミナミ | クルミ | ダイズ | ジャガイモ | |
ハクサイ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
キャベツ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
ネギ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
ホウレンソウ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
レタス | ○ | ○ | ○ |
作物名 | ネコブセンチュウ | ネグサレセンチュウ | シストセンチュウ | ||||||
サツマイモ | ジャワ | キタ | アレナリア | キタ | ミナミ | クルミ | ダイズ | ジャガイモ | |
アズキ | ○ | ||||||||
ダイズ | ○ | ○ |