後作緑肥 | 主作物の収穫後に作付するタイプの緑肥作物で、北海道では最も普及しています。 北海道では小麦収穫後8月上旬までに収穫、麦稈を処理して、8月中旬にはカラシナ(辛神)、シロガラシ(キカラシ *)、ヘアリーベッチ(まめ助 *)、まめゆたか *(8月下旬まで)、アウェナストリゴサ(ヘイオーツ)を播種するタイプで、生育日数は降霜までの約2ケ月、生収量で2~4トン/10アールを確保できます。 |
休閑緑肥 | 主として生産物が過剰な場合や新墾地、また病害や有害線虫が多発した場合に、主作物の作付を一年間休閑して導入するタイプと春先から主作物の作付前までの短期間休閑して導入するタイプがあります。 北海道では、休閑緑肥(長期)としてアカクローバ、ソルガム(つちたろう *)、スーダングラス(ねまへらそう *)を栽培します。この休閑緑肥は粗大有機物の確保が可能で、ソルガムでは約6トン/10アール以上の有機物(生草収量)を確保できます。また、春播きの休閑緑肥(短期)は栽培期間が50~60日前後の有害線虫防除としてアウェナストリゴサ(ヘイオーツ)を、短期で有機物を鋤き込んだり、景観美化のためのハゼリソウ(アンジェリア)、シロカラシ(キカラシ *)、クリムソンクローバ(くれない)を目的に用います。 |
間作緑肥 | 主作物の畦間に緑肥を中播きし、主作物の収穫により、地上部が明るくなってから緑肥が生育するタイプです。 北海道では小麦に対するアカクローバの間作がポピュラーです。 |
越冬緑肥 | 夏作物収穫後に作付して翌春に鋤き込むタイプです。 北海道ではライムギ(R-007 *)を播種して越冬させ、翌春の土壌侵食の防止や有機物確保を目的とします。 |
ハウスへの緑肥 | ハウスの線虫対策や過剰塩類の除去を目的として、主作物を休閑して緑肥を導入するタイプです。 夏場にソルガム(つちたろう *)、スーダングラス(ねまへらそう *)を2ケ月程度導入します。 |
※緑肥作物の名称は品種名または商品名で記載しており、商品名で表記しているものには*を付記しています。
線虫対抗作物・線虫抑制作物 | 線虫対抗作物、および線虫を抑制する緑肥作物の作用は3パターンあります。
1. 根に線虫が侵入するものの、何らかの理由で線虫が成熟できないため、産卵に至らず次代の線虫密度の低減につながります。 2. 根から殺線虫物質を出すことで線虫の密度を減らします。 3. 茎葉に含まれる成分が、すきこみ部分の分解によってガスとして発生し、その殺虫・殺菌効果によって病害虫の発生を抑えます。 |
薫蒸作物 | 鋤き込みや細断で組織が傷つき破壊されることで、酵素ミロシナーゼによりこれが加水分解されて生じる分解産物で殺菌効果のある成分イソチオシアネートを利用した緑肥作物です。 ホウレンソウ萎凋病やテンサイ根腐病、トマトの青枯病にはカラシナ(辛神)が効果的です。 |
水田裏作 | イネ収穫後に播種して翌年田植え準備までには鋤き込む緑肥作物です。 九州~東北ではヘアリーベッチ(寒太郎 *、藤えもん *)、レンゲ、イタリアンライグラスが用いられ、米の品質や収量改善に一役買っています。特にヘアリーベッチの導⼊は⽔稲の減肥や種子で繁茂する雑草を抑制できるなど、様々なメリットがあり、近年広がっています。 |
地力増進緑肥 | 地力増進によって野菜などの安定した生育を保ち、化学肥料の減肥も可能となります。特にマメ科の緑肥作物が効果的です。 都府県では秋~初夏までの栽培となるタマネギ等は、後作としてクロタラリア(ネマックス、ネマコロリ、ネマックス)、スーダングラス(ねまへらそう *)、ソルガム(つちたろう *)を、また春~初夏までの栽培となるキャベツ、キュウリ、バレイショの前作にはヘアリーベッチ(寒太郎 *、藤えもん *、まめ助 *)、ライムギ(R-007 *)、アウェナストリゴサ(ヘイオーツ)が使われています。 |
リビングマルチ・カバークロップ | 土壌浸食防止、景観の向上、雑草抑制などを目的として、主作物とは別の作物の播種を行い、主作物の生育期間中も生育を続けさせて地表を植物で覆わせるのに使われます。 北海道ではそばや秋播き小麦へのアカクローバがリビングマルチとして導入されています。また秋播き小麦の前作(休閑緑肥)や収穫後の夏播きとしてアウェナストリゴサ(ヘイオーツ)、タマネギの後作としてライムギ(R-007 *)がカバークロップとして使われています。 |
草生栽培 | 初期生育、茎葉部による被覆、アレロパシー作用などのある緑肥作物で地表面を覆うことで雑草の侵入や繁茂を防ぐと共に草刈の省力化や農薬散布による環境負荷を与えない栽培方法です。 都府県では春播きでは初期生育の早いライムギ(R-007 *)、秋~春播きのヘアリーベッチ(寒太郎 *、藤えもん *、まめ助 *)やハゼリソウ(アンジェリア)、果樹草生栽培にはオオナギナタガヤ(ゾロ)、ライムギ(R-007 *、緑春Ⅱ *)、イタリアンライグラス(エース)、ケンタッキーブルーグラス(ヌーブルプラス)、トールフェスク(ダイナマイトG-LS)、シロクローバ(アバパール)、バヒアグラス(ペンサコラ)が使われています。 |
ドリフトガードクロップ | 隣接作物への農薬飛散(ドリフト)を低減するには、茎葉の多いソルガムやエンバク等が適しています。 都府県では春から夏に播けるソルガム(短尺ソルゴー、つちたろう *)が、また秋に播いて翌春から利用するライムギ(R-007 *)、エンバク(とちゆたか *)が使われています。 |
畦畔緑化 | 畦畔を維持するためには一年を通して雑草管理(草刈や除草剤散布)や崩れ防止の補修作業の管理が必要です。草丈が低く、雑草の侵入を防止し、永続性の優れる植生を用います。 東北・寒高冷地ではクリーピングベントグラス(CY-2 *)が使われています。 |
景観作物 | 花を咲かせる緑肥作物の導入によって地域の景観を向上させることから、遊休農地の有効活用にも活用されています。 黄花のクロタラリア(ネマキング、ネマコロリ、ネマックス)、シロガラシ(キカラシ *)、ヒマワリ(サンマリノ *)、カラシナ(辛神)赤花のクリムソンクローバ(くれない)、紫花のハゼリソウ(アンジェリア)が使われています。 |
※緑肥作物の名称は品種名または商品名で記載しており、商品名で表記しているものには*を付記しています。